創業110年を迎えた、唐津土建工業株式会社。
佐賀県内を中心に、道路や河川、港湾、災害復旧などの土木工事と学校や病院施設、住宅の新築、改修、リフォームなどの建築工事の二本柱で地域の暮らしを支えています。
イキイキと働く若手の活躍が目覚ましいその秘密を土木、建築、営業、総務の各部門の社員との座談会から読み解きます。
いま建設業界では働き方改革を進めていますが、皆さんの実態はどうですか?
現場では、残業にならないよう作業分担しながら、なるべく時間内に終わるように努めています。
定時に退社できるよう、営業の組み立て方を工夫するようになりました。
総務でも仕事のやり方を見直すことで好循環が生まれました。
「今日は終わりそうですか?」と積極的に声掛けをし、サポートし合っています。業務マニュアルを共有することで、だれかが欠席してもカバーできる態勢を整えました。
産休や育休も遠慮なくとれて、女性にとって安心して働ける職場になっています。
だいぶ浸透してきたようですね。
そうしてできた時間を自分や周りの人と共有するために使っていただければ嬉しいです。
私は人生で「4つのT」 -「楽しむ」「(自分を)高める」「頼りになる存在になる」「(次世代に)託す」- を大切にしています。
皆さんにとって「高める」ものとは?
安全第一の仕事なので、体調管理には気をつけています。工事が始まる前に自分なりにデータを集めるなど、事前準備をして臨むようになりました。
新しい仕事にも挑戦でき、仕事の幅も広がり、自分の能力が高まっていることを実感しています。
わが社の経営理念は、「建設業を通じて地域社会に奉仕し経営を確立する」ですが、地域とのつながりで意識していることはありますか。
地域の皆さんの暮らしに欠かせないインフラを整えているという責任感を持って取り組んでいます。
佐賀県で災害が発生すれば、とにかく困っている人たちを最優先に復旧工事に努めています。お客様に寄り添い、いかに応えるか。一つ一つに丁寧に向き合っています。
岸本龍さんは地域イベントの事務局もしていますね。
はい。会社で「唐津里浜づくり推進協議会」という団体の事務局を担っており、担当しています。
仕事以外での地域の人との出会いが自身の成長につながっています。
虹の松原の清掃活動も会社のイベントとして行っています。前回は40人ほどが参加し、地域の宝を守る活動も活発です。
社内の交流会も楽しみですね。
敷地内で行うバーべキュー大会など社員の家族も参加して毎回大盛り上がり。イベントの企画や準備、片づけまでみんなが主体的に楽しみながらやってますね。
部署の垣根を越えてコミュニケーションできるよい機会で、ありがたいです。社内イベントも盛んで、気兼ねなく話せる人が多いです。
私たち夫婦の結婚式をサプライズでしてもらうこともあり、もう感動でした!
自分たちで役割を持って準備することは、社会でも活きます。外でのお付き合いにも広がるし、ひいては地域の中で必要とされる人材にもなれます。
皆さんには、そこを目指してほしいです。
仕事だけではなく、地域の一員として必要とされるキーマンが唐津土建工業にはふえていく…。
そうなることを願っています。
人間力あふれる組織であることを発信したいですね。気持ちが伝わりやすい会社でありたいです。
建設業界では〝新3K〟という言葉が注目されています。「希望が持てる」「給料がいい」「休暇がとれる」。それに加えて「カッコいい」こと。
現状はどうですか?
自分たちの頑張りでボーナスを年3回いただけるのは、明確な目標になっています。
給料だけでなく、相談すればすぐに動いてくれるし、こうして僕らのことを考えてくれることに満足しています。
プライベートも仕事も全力で取り組める環境がここにはあります。風通しのよさを感じています。
この業界に希望は持てますか?
AIやICTを上手く取り入れながらですが、我々の仕事はどうしても人の手でないとできない職場なので未来は明るいと思っています。
チーム唐津土建工業のストロングポイントは?
いろんな人がいて、みんなが意見を出しやすいことです。
会社の歴史も長く、地域とのつながりも深いので、唐津土建さんに任せておけば大丈夫、安心しておけるね、と言ってもらえることです。
人としていいな、と思える人が多いですね。相談すれば親身になって応えてくれます。
私自身、今日は皆さんから力強い言葉を聞くことができ、いい機会になりました。
そうした強みをさらに強めて、地域のお役に立てる会社にするには、一人一人の力に尽きます。
これからもお客様のため、地域の方々のため、そして私たち自身のために一緒に楽しみながらさらにステップアップしていきましょう。
近年の豪雨で崩れた仁部川護岸(唐津市七山)の復旧工事を担う、野田雄介さん。
近くには農家のビニールハウスもあるため、まずは大型土嚢を設置し、これ以上ひどくならないよう補強しています。現場付近は大きな岩も多く重機も入らない状況ながら、大雨に備えて急ピッチで進める日々。自然相手の難しい仕事ですが、それでも「地図に残る仕事にやりがいを感じています」と野田さん。
社内には部署の垣根を越えて意見交換ができる「若手勉強会」もあり、若い世代が自主的に活動する姿に大いに刺激を受けています。
入社の決め手は、説明会で出会った先輩たちの雰囲気の良さ。当初は専門用語を覚えるのに必死でしたが、今では自分のカラーも出せるようになり、現場全体が俯瞰できるようになったと語ります。
「会社の規模も大きすぎず、小さすぎず、社長を身近に感じられる距離感の組織であることは、とてもいい環境だと思っています。社員を大切にする岩本社長の存在は大きく、励みとなっています。これまで土木部の業務に携わってきましたが、今後は管工事や造園工事などやったことのない分野にも挑戦してみたいですね」
今年3月にスタートした、唐津市モーターボート競走場競技部棟の改築工事。
選手たちが競艇で使用するモーターボートのエンジンなどを整備する施設で、建築工期は令和10年3月という大型物件です。
その現場監督を担うのは、建築部の池田正一さん。5年前にも選手宿舎の改築を手掛けた経験があり、「地域のためにという誇りがあります」と語ります。レースを開催しながらの工事のため制約も少なくありませんが、やりがいは大きなもの。
社内のサポート体制も万全で、現場の作業に専念できる環境も整っています。「作業を安全に進めるためにも、現場の人が働きやすいようコミュニケーションをとりながらつないでいます」。
その池田さんの下で今春から働く、廣渡拓翔さん。唐津土建の存在は、母校の「唐津第一中学校」の改修工事で初めて知り、「自分もそうした好きな建物を建ててみたい」という思いを抱いて、唐津土建工業㈱へ。「いまは毎日がものすごく楽しいです。周りは大先輩ばかりですが、皆さん、話しやすい方ばかりなので助かっています」。まずは仕事を任せられる人間になることが当面の目標です。
昭和50年代に建てられ老朽化した鏡中学校校舎を、より長く活用できるよう、内部の改修や耐震補強、エレベーター棟や渡り廊下棟の増築工事を行っています。工期は令和7年10月末まで。敷地内に仮設校舎をつくり、生徒さんには引っ越ししてもらい進めています。
「建物が完成し、足場を解体する時の瞬間がたまらない」と語る、建築部工事主任の江原正樹さん。中から現れる生まれ変わった建物を前にすると、達成感とともに幸せな思いに満たされます。
36歳という若さで現場を任され、評価してもらえることに手応えを感じる日々。
その下では、同じように未来の現場監督を目指す口石幸奈さん、吉田有李さんが業務に励んでいます。イメージが目に見える形になることに面白さを抱く口石さんは、いずれ設計も学び、オールマイティーなプロフェッショナルになるのが夢。「唐津土建ならそれが叶うと信じています」と断言します。
一方、入社2年の吉田さんは、現場での毎日が楽しくてならない様子。「尋ねれば必ず答えてくれるし、先輩方の姿を見て自分も早くそうなりたいと憧れます」。
現場の雰囲気づくりを大切にする江原さんの音頭で、工事の節目に飲み会も開き、互いのコミュニケーションを図ります。「実際、私も育児中でみんなに助けられています。唐津土建は人間関係がすごくよくて、我慢せずに言えるのが魅力です」。頼もしい後輩たちと今日も和やかな現場を生み出しています。
大正3年(1914年)、祖父・岩本幸太郎が大工として創業し、今年で110年。昭和48年(1973年)には福岡営業所を、昭和57年(1982年)には中近東方面を中心に海外事業部を設置するなど、社会動向に合わせて業務展開し、昭和49年(1974年)には相互協力会を発足。工事に携わる地元の専門職が集い、互いに協力しながら安全安心を育みお客様の要望に応える「チーム唐津」として励んできました。
昨今、力を入れているのがICTで、ICT推進室を設置し、技術のDX化を図っています。また、将来を見据えた社員教育も重視し、コミュニケーション力や人間力を養うため、技術教育長を先頭に教育システムを構築しています。
わが社は「建設業を通じて、地域社会に奉仕し経営を確立する」を経営理念としています。地域の方々との信頼関係を築き、人と自然の共生を目指す建設業であるためにも、地域の海や山や川など、自然の大切さを次世代に引き継がねばなりません。その取り組みの第一歩として、平成18年(2006年)に、「NPO法人 唐津環境防災推進機構KANNE」を発足。虹の松原の保全活動を通して、人と自然が共生共繁できる社会を目指し、自然環境に配慮した建設業のあり方を模索しています。
今後も持続可能な社会を実現するために、カーボンニュートラルを目指し、「佐賀」の魅力を発信しながら地域力を持続できる企業活動を展開して、若い人が集う、活気ある集団でありたいと思います。